• テキストサイズ

【血界戦線】SOAK IN BLOOD

第8章 豪運のエイブラムス




見慣れた扉を開けると
いつもの甘い香りがする。


「失礼します。」と、誰に届くでもない謝罪をし
クローゼットに足を踏み入れる


棚を上から順に開け、下着の棚を探す

適当に手前のものを選び
なるべく視界に入らない様に袋に入れしまいこむ


先程の名前の苦しそうな表情が
頭から離れず息をつく間もなく、急ぎ足でまた事務所へと戻るのだった。




事務所の扉を開けると

「おかえりなさい、レオナルド様」

彼の手には赤く染まったタオルが何枚も抱えられており
「血ももう止まったみたいです
シャワーの準備も出来ているので目が覚めたら
教えてあげてください。
それまで、レオナルド様も少し休んで下さい」

お茶でも入れてきます。と、少し気を使った様に
この場に名前と2人きりにしてくれる

僕は気を使わせてしまうほど
酷い顔をしているのだろうか
そっと名前の横たわるベッドに近づくと
先程よりも柔らかな表情で目を瞑り
華奢な手には、輸血の針が刺さり
ふとももの穴は完全にふさがっており何もなかったかの様だった

白い柔らかそうな太ももにそっと指を沿わすと
微かだが穴のあった場所に凹凸がある


『レオのえっち』


少し掠れた甘い声が聞こえ
ハッとして、顔を向けると


『なんて顔してるの』

ふふと、笑みをこぼし僕の頭をくしゃくしゃと撫で
『泣かせちゃってごめんね』と悪戯な顔で笑う

「泣いてなんかいません」と否定しようとすれば
頭に置かれている手が後頭部に回り
名前の方へ引き寄せられる


僕の唇に少し乾いた名前の唇が当たると
ちろりと唇を舐められ口を開けろと促される
そっと隙間を開ければヌルリと
暑くとろけそうな舌が入り込んでくる
答える様に名前のそれに舌を絡ませると
まってましたとばかりに、
名前の血が流れ込んでくる

甘く鉄臭いそれを喉を鳴らして飲み込むと
名前は僕の眼帯にそっと撫でながら


『無茶しちゃ駄目じゃない
心配しちゃうでしょ?』

「む、無茶したのは名前さんの方っすよ」


どんなに心配したか‥‥

彼女がいつもの僕にする様にそっと頭の上に手をのせた。
/ 107ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp