第8章 豪運のエイブラムス
スティーブンさんとKKさんを病院へ運び
「名前さんは?」
「彼女は事務所までこのまま運んでやってくれないか?」
「え?!」
彼女の傷口をみると
血は滴り落ちているものの、先程よりも
傷口が小さくなっている
「彼女にはまだ働いてもらわないといけないんだ」
悲しそうな顔でクラウスさんが言う。
分かりました。それ以上は何も言わずに
彼女をそのままライブラまで連れて帰る
事務所に着くとギルベルトさんが用意してくれたベッドへ
ゆっくりと彼女をおろす。
『‥‥‥‥う゛うん』
眉間にしわを寄せ小さく唸る名前の額の汗をぬぐいながらギルベルトさんがボソリと独り言の様に呟く
「傷がいくら早く治るといったって痛いものは痛いですよね」
じっとその姿をみていると
「レオナルド様は、名前さんの家はよくご存知なのでしたよね?!」
「よく、とまでは分からないですけど、、まあ」
「きっと彼女が起きたら、この服じゃ怒り出してしまいそうなので
着替えを取ってきてはくれませんか?
私はシャワーの用意をしておくので
この様子じゃ1時間程で目を覚ましそうですし」
汚い!と怒りながらシャツを投げ捨てる名前さんの
姿が安易に想像出来る、だからと言って‥‥
「流石に、着替えとなると勝手に女性の部屋に入るのは」
「名前さんが気にするとでもお思いですか?」
ギルベルトさんの言葉に大きな溜息が出る
「しませんよね。」
でも僕は気にしますよ。という言葉を飲み込んで
彼女の家に向かうのだった。