第8章 豪運のエイブラムス
僕たちが駆けつけると真っ赤に染まったその惨状に
大きな穴が開いたスティーブンさんとKKさんの姿が目に入り
名前の姿が見えないことに
心臓が大きく飛び跳ねる!
「レオ!こっちだ」
ザップさんの声の方に駆け寄ると
壁にもたれかかった様に立ったままぐったりと目を瞑る
名前の姿が目に入った
「これ、抜かねぇと運べねーからお前名前の事支えてろ」
ザップさんの指示に従い名前を支える
まだ、パイプからは血が滴り落ちており
いつもの甘い香りと鉄臭い臭いに目の奥が熱くなる
スティーブンさんを背負うザップさんと
KKさんを抱えるクラウスさんの後を
僕も黙って名前を抱えてついていく
誰一人言葉を発さなかった。