第8章 豪運のエイブラムス
「気に入らないな〜」
『っ!』
急に目の前に現れた女性の姿ブラッドブリードと
左足の太ももに感じた気が遠くなりそうな程の痛み
『あ゛、、、ーーーーっ』
声にもならない痛みに崩れ落ちそうになるものの
刺されたそのパイプがかべまで突き刺さっているらしく
崩れ落ちることも逃げることもできない。
「ねえ、あの2人ちょっとずつ治ってきてるんだけど
あんたの力なの?」
来るまえに少しずつ2人に血液を飲んでもらって
正解だった。即死はしないだろうけど
2人の出血量をみると安心もしていられない。
パイプの穴から滴る自分の血液を
もうろくに働かない頭でぼんやりと見つめ
遠くから聞こえてくる小さな音に口角が上がる
「聞いてる?ねえ、死んじゃった?」
覗き込むように聞く目の前のソイツに瞳を向ける
「ねえ、なんで笑ってるの?
おかしくなっちゃった?」
『遅すぎだよ』
光と共に電車が通り過ぎる
頼もしい大きな背中に
自分の名前を呼ぶ声にゆっくりと意識を手放した。