• テキストサイズ

【血界戦線】SOAK IN BLOOD

第5章 艶然とした狂気




「確か、この建物ですよね」


明らかに怪しい雰囲気を醸し出すビルの前で二人足を止める

『ここだねー』


「あの、大丈夫ですか?」

『へ?何が?』

「だって、この騒動の糸を引いてって事はボスって事ですよね?
危ない奴だったらーー」

『へーきへーき!』

ヘラヘラっと笑って僕の頭をワシャワシャと
豪快に撫でる

『それに、みんなみたいに大群の所に送られても困っちゃうから

私たいまんの方が得意なの♡』


臆する事なくビルの地下にカツカツカツとピンヒールを響かせて降りていく
名前の後ろ姿を見て
こんな華奢な人がザップさんやクラウスさんの様に闘えるとは思えない。



携帯に送られたデータ通りに地下を降りると分厚い鉄製の扉が姿を現した。
名前は扉に手をかけ
小さい声で『レオはここで待っててもいいよ?』
少し眉尻を下げ何とも言えない表情で僕を見てくる

僕の事を思ってなのか、確かに何も力になれないかもしれないけど
名前を一人で危ない目に合わせてここで待っているわけにも行かない

「行きます!」
名前の目を見て答えると
『ん』と、短い返事をして振り返り
勢いよく扉を開けると



中は思ったりよも普通のホテルの一室の様な場所だった
やあ!と、緊張感のない声がした方を見ると
ソファに座り小綺麗なスーツに身を包み
ニコリと笑う顔は、彫刻の様に目鼻立ちがしっかりしており
あまりにも整った顔にデータにあった年齢よりも大分若く見える

「こんな、綺麗な女性が来てくれるなんて嬉しいな。」

彼の発言からは悪意が全く感じられない。
街では、何万人とゆう被害者が出ているのに
チラリと彼女を見上げると

ふわりといつもの笑顔を浮かべている
『私もこんなに良い男が犯人だなんて思わなかったわ』

カツカツと彼の方に近づく名前
その容姿と権力でありとあらゆる者を自分の物に出来てきた者の自信なのか
きっと彼の目には僕のことはうつっていないのだろう
名前を両手を広げ迎える

犯人の懐に入りふわり彼女の手が犯人の唇に触れる

僕は何を見ているのだろうか
追いつかない頭と、官能映画でも見ている様な
光景に目が釘付けになる



『カルブンクルス血焔術』


彼女の艶のある声が響いた




/ 107ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp