第1章 2つ並んだ泣き黒子
これが、犬猿の仲。
まだまだ続きそうな終わりのない罵り合いを
見ながらふと思った。
『あら、あなたが新入り?』
背後から、少し低めの耳障りのいい声が発せられた
その方に振り向くと
透き通るように綺麗な女性が自分の方を見て
ニコニコ笑顔を向けている。
ああ、さっきの声はこの人から発せられたものかと
頭が認識した途端
急に彼女と交わる視線に胸が高鳴り
目線を少し下げる。
アーモンド型の大きな目から視線を下げると
目の下に並んだ2つの泣き黒子が目に入る
2つの泣き黒子とーーー
あ、口元にも黒子がある。
ふと、口元の黒子に感じたことのない色気を感じ
目を奪われる
くいっと、形のいい唇の口角があがる。
彼女が動いた後のふわりと香る甘い香りと右手の暖かさに
初めて彼女が自分の右手を握っていることに気付く
上下に揺さぶりながら
『はじめまして、ジョニー・ランディス
私は苗字 名前
これからよろしく!』