第1章 2つ並んだ泣き黒子
鼻腔をくすぐる甘い香りと
目の前にある、色素の薄いブラウンの瞳
上下するたびふわふわと揺れる瞳と同じ色の
緩いウェーブのかかった胸元まで伸びた髪
ぷっくりと形のいい唇には、
ルビー色の口紅が綺麗に微笑んでいる
僕の目は、先ほど目に入った泣き黒子と、口元の黒子を
馬鹿みたいに交互に視界に入れる
見たこともない整った顔に、
戸惑いと高揚感が頭を支配して彼女に返すつもりの言葉が
喉の奥からでてこない。
「あ、、、、「新入りのジョニーランディス?
ジョニーランディスなら来ないわよ?」
『あらっ』
チェインの言葉に、名前はパッと手を離し
ポカンと口を開け
『どうゆう事なの?』
と、僕から目線を離し後を振り向く。
チェ「さっき通達があったのよ
ハドソン川で死体が上がったの。」
その言葉をきいてやっと
嘘がばれ自分の身が危険にさらされた事に
気づいたのだった。