第1章 2つ並んだ泣き黒子
ハロー ミシューラ
元気ですか?
お兄ちゃんは元気です。
この町に来てもう3週間が過ぎました
外からはとやかく言われることの多い街だけれど
暮らしてみれば居心地も良く
存外に平穏な日を送っています。
カフェ ダイナーから窓の外を見ると
いつもと変わらない騒がしい景色がひろがる
・・・・平穏平穏!
街の名はヘルサレムズ・ロッド
3年前ここにはNYがあった
今は異界と現世が交わる場所だ
「ハーイ レオ!
また昼間からブラブラしてるんか?」
常連となるカフェ ダイナーで、ビビアンと話していた。
それが、どうしてこうなった。
音速ザルにカメラを盗まれ追いかけた先に
目の前に迫る銀髪に褐色の肌をした
ザップ・レンフロと名乗る男。
顔の左側にめり込む拳。
突如掴めるかもしれない、僕とミシューラに起こった
謎を解くチャンス。
見たこともない奇怪な路地裏を
銀髪の後についてあるく
「あの、、、一体 どこへ、、、」
バタン
冷たい鉄扉を開けると、エレベーターに乗り込む
「ええと 今日はーーー
ーーーーーこっちか」
銀髪の触れた方の扉を開けると
「ようこそ 君が新しい同士か
歓迎しよう。 クラウス・V・ラインヘルツだ」
外見とはなんともアンバランスな
窓辺の光射す観葉植物に水を与えながら
自分に自己紹介してくる大柄なスーツを着た男。
ヒュン
先ほどまで銀髪のいた方向に風を感じたと思ったら
足を振り上げた銀髪が、先ほどの大柄の男に飛びかかる。
「、、、全くこの男は隙あらば私を倒そうとしてきてね
それも心底殺すつもりなので厄介なのだ」
顔色変えずに自分に話しかけてくる大柄の男のそばには
先ほどまで飛び上がっていた銀髪がいつの間にか床に突っ伏している。
「あー、、やっぱりそうなんですか」
追いつかない頭を動かしながら、クラウスの言葉に
返事を返す。
「、、、おっと
靴底が汚れたかな。」
ドスンという音とともに
テラスから、スーツに身を包んだ黒髪の女性が姿を現した。
クラウスさん曰く、諜報活動のエキスパート
チェインさんはザップさんを銀猿と罵り
ありとあらゆる罵声を飛ばしている。