第15章 green、green、green
気持ちいい朝の陽が入るリビングで
挽きたてのコーヒーを飲みながら
テレビを眺める
「今日のラッキーアイテムは観葉植物です。」
名前は、飲んでいたコーヒーカップを
流しへと置き、窓際の観葉植物に水を与える
『でも、これじゃあ
いつもと同じよね‥‥』
ぐるりと部屋を見渡し、
仕事帰りにでもいつもの花屋へ寄ろうと考える。
ジョーロを定位置へ戻し、いつものように
スーツ姿に身を包むと、リビングの机の上の
ケータイが鳴る。
『もしもし、名前。
おはよう、クラウス。どうしたの?』
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クラウスの呼び出しに、本部へと寄らず
家まで迎に来てくれた車に乗り込む。
いつもと変わらない騒がしいHLの街を走っていると
見慣れた後姿が見えてきた。
そっと横に車を止める
「ーーーー?!
ああ、クラウスーーーーー手に入ったよ。」
車を止め窓を開けると、
こちらへ気付くスティーブンが、
USBをこちらへ見せながら
車へと乗り込み3人で本部へと戻る
「名前も、おはよう」
『おはようございます』
名前は挨拶すると、クンクンと鼻をならし
『アンさんか〜』
スティーブンにしか聞こえない位の声で
気付いたとばかりに呟くと
スティーブンは、そっと名前の耳元へ近づき
「ヤキモチかい?」
くすぐったくなるような、甘い吐息交じりな声で
問うと。名前は前を見つめたまま
呆れたと言うように、はあと小さくため息をついた