第15章 green、green、green
「アン」
「ぁ‥‥‥待って」
ホテルの一室で、ゴツゴツとした大きな手に
顎を持ち上げられ左手を固定される
整った顔が息のかかる距離まで近づき
アンの名前を呼びながら
唇へ首筋へと甘いキスを降らす。
背中に回された手が身体のラインを確かめるように
いやらしく下へ下へとなぞっていく
なぞられた所が熱を放っている。
「ありがとう」
「え、もう?!」
急にそう告げると、先程までの温もりが
するりと離れ、その伊達男は自分が持ち出したデータを
手に取り色っぽい笑顔を見せ
手際よくジャケットを羽織り扉へと向かう
「君もそろそろ仕事に戻らないといけないだろ?」
また、連絡するよ。と言う彼の後姿を
アンは熱く火照った身体を抑えながら見つめていた。