第8章 再会、そして
わからない。
捕まえるかも知れないし、
殺してしまうかも知れないー…
内に熱を秘めたクラピカの眼が、ルカの気持ちをなだめていく。
クラピカは頭が良くて、博識。
目的達成の為なら手段を選ばない冷静さと
仲間を思いやる優しさを持っている。
今も、唐突と思えるルカの質問に
誠実に応えてくれた。
(私を仲間だと、そう思ってくれているから)
ぎゅ、と両脇に下ろした手を握り込む。
(私もクラピカを、皆を、仲間だと思うよ)
力を込めた拳とは裏腹に、ルカは笑顔を見せ、沈黙を破った。
これは、決意の笑顔だ。
「変なこと聞いてゴメン
クモってA級賞金首だし、心配になっちゃって。次に会うまで絶対に無茶しないでね?クラピカ」
「ああ、善処する」
ふ、と口許を緩めながら
クラピカは「善処じゃなくて!」と声を高くする少女と笑い合う。
「オイ、そろそろ乗船の時間だぜ?」
レオリオが言うが早いか、周囲の客達がいそいそと列を作り出した。
31番ゲートのお客様は出発のご準備を、とアナウンスも聞こえる。
「…もし良ければ
次にヨークシンシティで会う時は
ルカ、君の話をもっと聞かせて欲しい」
「!」
「無論、ムリにとは言わないが」
喧騒の中、クラピカの言葉に驚く。
ルカは一瞬固まったが、すぐ笑顔に戻り、素早くクラピカの右手を取った。
「約束!
ヨークシンでもっと話をしようね!」
絡め取られた小指が強く上下に揺れる。
約束、と指切りしたルカの笑顔が印象的で、出航した飛行船の中、クラピカは何度も少女の笑顔を思い出すことになる。
「おっせーな!ルカ。何してんだよ」
「クラピカとレオリオ、無事に出発した?」
空港のロビーに戻ったルカを、への字に口を曲げたキルアと笑顔のゴンが待っていた。
2人の顔を見ると、なんだかホッとする。
次の目的地を決めたんだ、と意気揚々と話すゴンにルカは次の言葉を促す。
「どこへ行くの?」
「「天空闘技場!」」
息ぴったりの2人の声と、掲げられた3人分のチケットに、ルカは破顔一笑。
全身の緊張が一気に抜けた。