第12章 天空闘技場 vsヒソカ
幻影旅団と
クルタ族の生き残りであるクラピカ。
それだけで面白い…否、
悲哀の色濃い復讐劇に違いない。
そこに旅団の養い子であり、かつ、ハンター試験でクラピカと縁を結んだルカが絡んだとしたら。
(……サイコーに面白そうだ♥️)
ルカが関係すれば、
旅団は必ず、揺れる。
彼女に危害が及ぼうものなら、
クモの余裕は消え失せて本気の戦闘が叶うだろう。
(それは彼も…
クロロも例外ではないハズ♦️)
いつ、どこで、どんな戦闘になるかはいざ知らず、間違いなく旅団とクラピカは闘うことになる。
闘いの中でルカは、
家族を、クモを選ぶに違いない。
クラピカやその仲間であるゴンやキルア、
レオリオへの情を捨てることも出来ないままー……
その過程でボロボロに傷付つく少女は
さぞや旅団に混乱を招く事だろう。
少女の涙は、さぞや美しく悲劇のクライマックスを彩る事だろう。
(クラピカとルカを巻き込めば
本気のクロロとヤれるかも知れない♥️)
(そして)
(旅団もクラピカも倒れた後で
ボクを仇敵と憎み、燃えるような憎悪を向けてくる…
そんなルカが見れるかも知れない♥️)
ハンター試験終了からずっと
そんな、考えるだけでゾクゾクする妄想を
ヒソカはしていたのだ。
……だのに、
目の前のルカはこんな男を『家族』と言う。
我ながら人としてどうかと思うほど最低な事を考えて、更に実行に移すような、こんな自分を捕まえて。
(まったく、このコは……♠️)
何が楽しいのか、ニコニコと相好を崩しながら髪を撫で付けてくる少女相手に、ヒソカは短い溜息をつく。
その笑みにつられるように、口許が弛むのを自覚しながら。
「ルカ……残念だけど、時間切れだ♦️」
奇術師の語尾に重なるように、躊躇いがちなノックの音が響き、係員が試合開始10分前と、入場ゲートへの準備依頼を伝えた。