第8章 再会、そして
「それにしても、ゴンは本当にガンコだな」
「う~~~
だって決めたんだもん。やること全部やってから使うって」
「なんだよ、やることって」
呆れ顔のキルアが、困り顔のゴンを問い詰める。
キルアと再会できたルカ達は、ゾルディック家の敷地からすぐに出発した。
ちょうど今、飛行船の空港がある街に到着したところである。
土産物屋やレストランが並ぶ石畳の通りを、ゴンがハンター証を使わない、という話をしながら空港に向かって歩いている。
暖かい陽気に誘われて、人慣れした小鳥がどこからともなく路傍に集まっている。
ピピ…ピチチチッ
ルカは皆の後ろについて歩きながら、愛らしい小鳥に目をやった。
「かくかくしかじかで渡されたこのプレートを、ヒソカに顔面パンチのおまけ付きで叩き返す!
そうしないうちは絶対!
ハンター証は使わないって決めたんだ!!」
件のプレートを握りしめながらのゴンの力説。これを聞き、ルカの脳裏には見慣れたピエロの顔がチラついた。
(ゴンってば、ホントにヒソカに気に入られちゃって)
苦笑をこぼしながら、ルカは寄ってきた小鳥に気を戻す。
ピチチッ
「で、ヒソカの居場所は?」
「えーっと」
…と、キルアとゴンの情けない会話を引き取ったのはクラピカだ。
「私が知ってるよ、ゴン」
「本当?」
「…え、なんでクラピカがヒソカの居場所を知ってるの?」
思わずルカも会話に加わる。
聞けば、ハンター試験でクラピカは『クモについて、イイことを教えよう♥』と、ヒソカから耳打ちされたと言う。
「…クモ?」
「講習の後、ヒソカに問いただすとヤツは『9月1日ヨークシンシティで待ってる◆』と言った」
クラピカの言葉にルカは眉をひそめる。
皆、何の疑問もなく話をしている。でも……
「ちょっと待って
クモを探してるの?誰が?クラピカが?」
ルカの質問に、ルカ以外の4人は顔を見合わせる。
そして、ゴン、キルア、レオリオの目線を受けてクラピカがうなずき、口を開いた。
「ルカにはまだ伝えていなかったが…
私はクルタ族の生残りだ。
同胞を皆殺しにした、幻影旅団を捕まえる為にハンターになったのだよ」