第8章 再会、そして
「ちょっ、ルカ?! まっ…」
キルアの珍しく焦った声。
執事室に到着したというのに、なかなかルカの電話が終わらず、焦れたキルアが電話の間の扉を開けたのだ。
ゴン、クラピカ、レオリオも、キルアの頭越しに中を伺おうと後に続いたのだが。
ドカン!
「「「!」」」
扉の中に入ったハズのキルアが、一瞬にして押し戻され、その勢いで後ろの3人も将棋倒しを喰らう。
ドサドサッ…ゴン!
「キルア様!」
すわ主人への襲撃か、と応接間に控える全ての執事が身構える。
が、扉前の状態を目視したゴトーが片手を上げ、執事達の動きを制止した。
「…ってーな!ばかルカ!
いきなり飛びかかってくる奴がいるかよ!」
「だって!
無事だったんだキルア!よかった~っ」
正面からキルアの腰をがっちりホールドするルカと、それを無理矢理に剥がそうとするキルア。
離せ、離さない、と騒ぐ2人の下ではゴンとクラピカが下敷きになっている。
「あいたたた…」
「…とりあえず!ルカとキルアは降りて、くれないかっ」
レオリオに至っては衝撃で飛ばされ、床で後頭部を打ったようだ。ひとり目を回し、倒れている。
(キルアにまた会えてよかった…!)
ルカはキルアの顔が見れて嬉しかった。
自分で思っていたより、ずっと嬉しかった。
もっと冷静に現状を分析して、気持ちも整理出来ていると思ったのに。
「もう友達だ」なんて言葉にするより、
今の気持ちの方がずっと確かなんだ・・・
・・・思わず目に涙を感じ、ぎゅっ、とキルアの腰に回した腕に力を込めた。
「だーかーら、離せっつーの!」
「まぁまぁ、落ち着いてキルア」
「…ゴンも、3人とも、
降りてくれないか…っ」
ちょっぴり恥ずかしそうに焦るキルアに、いつも通り動じないゴン。それに、今は苦しそうなクラピカ。
自分の回りで聞こえる声に、ホームにいるような錯覚を覚え、ルカは思わず笑みをこぼした。
キルアがルカを剥がすことに成功し、ゴンとクラピカが解放されるのは少しあと。
レオリオが目を回している事に皆が気付くのは、更にもう少しあとになる。