第8章 再会、そして
怒っても仕方ない。
この手の人種はぶれない。揺れない。
…そう簡単には響かない。
この手の人種=クモ相手に腹が立つと、ルカは沈黙を守ることにしている。
もっと簡単に言えば、シカトすることに決めている。
でも、電話じゃシカトも出来ない。
(…ガチャ切りしてやろうかな)
次の間の執事が聞いたら卒倒するだろうが、ルカはすぐに実行しようとした。
「そんなこと言っても
もうキルアと私、友達なんだけど」
「あぁ、ルカなら良いんじゃない?」
「イ…、え?」
イルミの許可なんていらない、と言い逃げして電話を切ろうとしたのだが。
「キルに良い嫁候補が出来たって、母さん喜んでたからさ」
「…はい?」
「あ、そろそろ殺し(しごと)の時間だ」
ブツッ
ツー
ツー
ツー……
「………」
ルカは受話器を見つめる。
そこに爆弾発言を残した相手がいる訳じゃなし、いくら見つめたって意味はないのだが、そうせずにはいられなかった。
「ていうか、逆にガチャ切りされたし」
…って、いやいやいや、そーいう問題じゃない。
空耳?
聞き間違い?
言い間違い?
「嫁」って言った。
違う「嫁候補」だ。
…って、いやいやいや、そーいう問題でもない!
しかも「母さん喜んでた」だって?
あのエキセントリックなお母様に喜ばれる覚えなんか、これっぽっちもないんだけど?!
ルカは何度も瞬きをし、自問自答を繰り返す。
しかし、すぐに考えるのを止めた。
出るハズもない正解を探すのは止めよう。
ゾルディック家のマイペースに巻き込まれることはない。
そう、少々乱暴に結論付けた。
何故なら、
懐かしい銀髪が、ノックもなしに扉を開けたからだ。
バンッ!!
「オイ!もう行くぞ、ルカ!」
「…っキルア!!」