第8章 再会、そして
ククルーマウンテンが闇夜に溶ける頃、4人はカナリアの案内でゾルディック家の執事室に到着した。
執事室、と呼ぶには立派過ぎる洋館で、今まさに、歓待を受けているところである。
「意外だね、カナリアの剣幕からして
全員ボコボコにされるかなって思ってたのに」
「まったく、拍子抜けだな」
床には毛足の長い絨毯、2階まで吹き抜けの天井にはシャンデリア…という応接間でお茶を出され、ルカは隣のレオリオと耳打ちし合う。
「奥様から連絡があり、あなた方を正式な客人として迎えるよう申し付けられました。
…ごゆっくりおくつろぎ下さい」
2人のひそひそ話を引き取って、ゴトーという執事が慇懃無礼を絵にしたような笑顔で応える。
ルカとレオリオが「ハハハ…」と乾いた笑いで頭をかき、ゴンとクラピカがそれを見て肩をすくめる。
プル…
ガタン!
「失礼」
電話の呼び出し音とおぼしき音が鳴るや否や、笑顔のままゴトーは椅子を蹴り、別室に消えていった。
ルルルル…プルルルル…プルッ
(3コール厳守…
ご主人様からの連絡、といったところか)
ゴトーが消えていった扉を横目で捉えながら、クラピカは出された紅茶に口をつける。
ほどなくして、ゴトーはルカ達のいる応接間へ戻って来た。
…戻って来たのだが、
自分の椅子ではなく、何故か客人が座る長椅子の側に立ったのだ。
「?」
長身から間近に見下ろされ、ルカが小首をかしげると…無表情の執事は誰も予想しなかった言葉を口にした。
「ルカさん宛てに、お電話です」
「私に?誰から?」
「イルミ様からのお電話です」
ピシリ
…そう音を立て、
その場の全員に緊張が走った。