第8章 再会、そして
銃声と同時、
ドサッ
燕尾服の少女が地に倒れる。
「「「!!」」」
ゴン、クラピカ、レオリオの3人はとっさに身構える。
目標は銃声の元。
キルアを助けて、と乞うた少女を非情にも撃った人間だ。
「全く、使用人が何を言ってるのかしら」
少女が必死に守っていた境界線の奥、鬱蒼とした木立から姿を現したのはー・・・
1人は、フリルいっぱいのドレスにつば広の帽子を身に付けた女性。
もう1人は、ジャポンの民族衣装である振り袖を着た、おかっぱの少女。こちらの少女はルカ達と同年代のようだ。
「まるで私達がキルをいじめてるみたいに。
ただのクソ見習いのくせして、失礼な」
淑女然としたドレスの女性は、顔に巻かれた包帯と大きなゴーグルのせいで、表情までは分からない。
だが、少々乱暴なセリフからは強い苛立ちが感じられる。
ゴン達にとって、あまりにも突然の登場。
振り撒かれた異様な雰囲気に飲まれかけた
その時……
「ちょっと、危ない!
お宅の『見習い』さんに当たるところだったでしょ」
「「「 !! 」」」
ルカの声で呪縛が解け、ゴン達3人も駆け寄ってくる。
いつの間に移動したのか、ルカは倒れた燕尾服の少女の横に片膝を付いていた。
「オイ、ルカ!当たるところだったって?」
「大丈夫だよ、レオリオ
着弾する前に足かけて転ばせたから」
「って、お前コレ気絶してるじゃねーかよ!」
「だって!」
急いでたから手加減できなかった…と説明しながらも、ルカは闖入者2人から目線を外そうとはしない。
キュイン!
奇妙な機械音と共に、包帯だらけの顔がルカに向けられた。
(!)
「あなたがルカ、そしてゴン達ですね
イルミから話は聞いています。
私はキルアの母です、この子はカルト。
キルからのメッセージをそのまま伝えましょう」
キュイン!
『来てくれてありがとう
すげーうれしいよ
でも、今は会えない
ごめんな』