第8章 再会、そして
「ゼブロさん、
本当にありがとう!」
特訓を初めて20日あまりで、全員が試しの門を開けられるようになり、ルカ達4人はゼブロに別れを告げた。
その直後、ククルーマウンテンを目指す道なりで、ゴンがルカの隣に並ぶ。
「きっともう少しでキルアに会えるよ。
そしたら約束だからね」
「はいはい!
…まさか、こんなに早く骨折が治るとは思わなかった」
「バッチリ治ったみたい」
ぶんぶんと、ゴンはハンター試験で折られたはずの左腕を回して見せる。
これで念を知らないんだから……ルカが言えた台詞ではないが、まさに末恐ろしい。
(どんな体してんだろ)
しばらく森を進むとー・・・
長い有刺鉄線の囲いと、簡素な石柱が見えてきた。
「………む」
石柱の間には人影が認められた。
「来る者を拒む扉の替わり」とでも言わんばかりに非友好的な気配を放っているのは………1人の女の子だ。
「出て行きなさい」
仕立ての良い黒の燕尾服を身に纏い、襟元にタイを結んだ、ドレッドヘアの少女が言う。
「貴方達がいる場所は私有地よ。
断りなく立ち入ることはまかり通らないの。
ここを一歩でも越えたら、実力で排除します」
(ふぅん……)
ルカは少女の姿を上から下まで視界に入れる。こっそり【不可避の眸(イーグル・アイ)】で頭のてっぺんから爪先まで、文字通り「凝視」する。
(念は知っているようだけど、
たいした使い手じゃない)
瞬時に判断し、ルカは一歩踏み出した。否、踏み出そうとした。
が、ルカより先に前に出たのは、ゴンだった。
(ゴン……!)
(大丈夫)
ザッ、ザッ、ザッ……
ゴンは無言で直進していく。
燕尾服の少女も無言でその歩みを許していたが、
ザッ!
ゴンの右足が境界線を越えた瞬間……!
バキッ
少女のステッキが一閃し、
ゴンの身体を吹き飛ばした。
「「「ゴン!」」」