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蜘蛛の娘 [H×H長編]

第7章 試しの門


珍しく押し黙ってしまったゴンに、ルカは首を傾げた。



「どうしたの?ゴン、私に何か用だった?」

「あ、うん!探してたんだ」



じゃあ降りる、と言ってルカは音もなくミケの背中から飛び降りる。

すぐ近くに着地して、ジャンパースカートの裾を整えるルカに、ゴンは新しく息を吸ってから言葉を発した。





「ありがとう!」


「? 何が?」


「ハンター試験が終ったあと、イルミとの間に入ってくれた時のことだよ。
ありがとう!」


「あぁ!」




『友達になるのに資格なんていらない』と、ゴンがイルミに迫った時のことだ。
オーラを纏った手でゴンに触ろうとしたイルミに気付き、ルカは2人の間に割って入った。



(念を使わなきゃ放っておいたけど……
あれはルール違反だもん)



「でも、私が割って入らなくてもゴンは気付いてたでしょ?イルミがやばいって」


「……うん。
あの時、アイツの手からすごい嫌な感じがした」




そこで、ゴンは再び押し黙る。


ルカに向けていた視線も外し、しばらく己のつま先を睨み付けるようにして下を見ていた。

しかし、ルカが次の言葉を催促する前に、ゴンは意を決した。


両手に力をこめて拳を作り、パッと顔を上げた。




「飛行船でネテロ会長とゲームした時、
あの時のルカからも同じ感じがしたんだ」


「!」


「ルカもアイツと同じ技を使ってるの?」




真剣なゴンの眼差しには、緊張と疑問と恐れと心配と……色々な思いがない交ぜになっている。



(なるほど……)



本当に聞きたかったのはコレなのかも知れない。



(でも、念やオーラ云々を上手く話せる自信が…………全然ない)




「えと、えーっと」



なんとかこの場をスルーして誤魔化せないか、ルカは頭をフル回転させなければならなかった。






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