• テキストサイズ

蜘蛛の娘 [H×H長編]

第7章 試しの門


「んぎ!ぐが!」



観音開きの扉に両手をつき、レオリオが力をこめるが、ピクリとも動かない。



「どうやっても動かねーじゃねーかよ!」

「上にあげるんだったりして」



ゴンも加わって、あーだこーだと試してみるがびくともしない。

その後ろから、ゼブロが声をかける。
そっとルカを前に促しながら。



「単純に力が足りないんですよ。
ねぇ、お嬢ちゃん?」

「え、私が開けるの?」


「はァ?!」



汗だくのレオリオが勢いよく振り向く。
ゴンとクラピカも驚きの表情でルカを見た。



「ルカ、いつの間に」


「いやいや!」



レオリオが裏拳で空に突っ込みを入れる。



「言っちゃなんだが、この中で一番体格いい俺が開けられないんだぜ?」



ルカにゃ無理だろ?!

そう、唾を飛ばすレオリオをどかして、ゼブロが言う。



「まぁご覧なさい。
この門の正式名称は『試しの門』

この門さえ開けられないような輩は
ゾルディック家に入る資格なしってことです」



にっこり笑い顔に促され、ルカは仕方なく肩をすくめた。






トッ……



と白い手が扉に触れる。

まだ幼さの残る小さな爪と、武骨そのものの門扉とがひどくアンバランスだ。



ゴン達が息を飲んで見つめる中、ルカは両手に力をこめた。

顔色も変えず、汗も見せず、
本人は至って軽い心持ちで。



「よーいしょっと」



逆に気の抜ける掛け声の

すぐ後



ギィ…ゴオォォォ……ンン



腹に響く重い音とともに、今までピクリとも動かなかった門がゆっくり中へと開いていった。




「!!」




「この通り、1の扉は片方2トンあります」

「2トン!?
しかも1の扉だと?」

「そう、ひとつ数が増えるごとに重さが倍になる。だから、今お嬢ちゃんが開けてるのは」

「16トン、か」



ゼブロとレオリオの会話を、クラピカが静かに閉じる。
しかし、その瞳には驚きがあった。


(ただ者ではないというコトだけは知ってたが……)


中へ開いた扉を見上げ、言葉もない皆を尻目にルカの声が明るく響く。






「ねぇ、コレどうするの?
中入っちゃうー?」


「……」


「ねぇってばー」





/ 144ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp