第1章 邂逅
ルカは一瞬にして移動していた。
周囲の受験生が気付いた様子はない。
それもそのはず、反射的に「絶」をして、あらん限りのスピードで走ったのだから。
ハンター試験会場に到着した者といえど、誰もルカの動きを感知・目視することはできなかった。
……たった今、
44の番号札を受け取った人物を除いては。
ルカは己のオーラを整えながら、もの凄い勢いで頭を回転させなければならなかった。
なせ彼がここにいるのか。
自分を捕まえに来たのか。
もしそうなら……どうすれば回避できる?
「すんごいお願いしたら、見逃してくれないかな……」
「誰に、何をお願いするって?」
「!!」
「やあ♥」
独り言にあるはずのない応え。
それに驚いて零れ落ちるところの悲鳴は、喉の奥に消えていた。
背後から伸びる手が、ルカの口をすっぽり覆ってしまったからだ。
「ん~~~ッ!」
容赦のないその手は……
最凶の奇術師、ヒソカのものだった。