第7章 試しの門
天を衝かんばかりの巨大な門の頂上には、龍の頭のような、鬼の首のような意匠が施されており、さながら地獄の門を彷彿とさせる。
大き過ぎる門を仰ぎ見ながら、ルカはトコトコと近付いていく。
そして、ひたり…と右手を門扉にあてて首をかしげた。
(あれ?)
背後では三下ゴロツキの声がうるさい。
守衛から鍵を奪い、足音も猛々しく扉の方へやって来る。
「どきな、嬢ちゃん」
ドン!
「「「ルカ!」」」
ゴン達3人が声を荒げた。
しかし、アマチュアハンター崩れの2人組は突き飛ばした少女を一瞥することなく扉の中へ消えて行った。
倒れはしなかったものの、よろけて扉に肩をぶつけたルカの側にクラピカとレオリオが小走りにやってくる。
「無事か?ルカ」
「うん、全然へーき」
(避けるまでもなかっただけだし)
「ちっ、あいつらカタギじゃねぇとは思ってたが、入って行っちまったぜ」
舌打ちをするレオリオの言葉に重なって、奴等に鍵を奪われた守衛の呑気な声が響く。
「あーあ、またミケが餌以外の肉を食べちゃうよ」
「「「……?」」」
理解できないセリフに居合わせた者が ? を飛ばしていると、3分も経たないうちに答えが出た。
ゴゴ……
低い音とともに、「中から」扉が開く。
「!!」
そして、僅かな隙間から何かが姿を現し………
ズシャッ…!と地に崩れ落ちた。
・・・・・
「キャーーーッ!!」
「嘘だろォ?!オイ!」
「ヒィィ……!」
観光バスの乗客は阿鼻叫喚の渦となる。
……無理もない。
つい先刻生きていた人間が綺麗な白骨死体になって出てきたのだから。
しかもーー・・・
もっとも扉に近い場所にいたルカ達には、更に衝撃的なモノが見えていた。
ゴロツキ2人組の骨を放り出したのは………巨大な動物の腕だった。
耳が良いルカ、ゴン、クラピカは
今も扉のすぐ向こうで唸っている得体の知れない動物の存在を感じていた。
……ぐるる……るる…
(う~ん
キルアの家って……すごいの飼ってるなぁ)