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蜘蛛の娘 [H×H長編]

第6章 最終試験


……一人前の証が欲しかった。


シャルにも、誰にも子供扱いされない、
私は皆と同じなんだって、証明してくれるモノが欲しかった。






半分衝動でホームを飛び出して、
ほとんど初めて1人で旅に出て…………






試験は楽しかった。

合格は嬉しかった。
凄く凄く、嬉しかった。





(でも)




分かってしまったことがある。





(私は………


私はやっぱり子供なんだ)






(どれだけ念が使えても、
多少なりと格闘能力があっても、

私には知らないコトがいっぱいある)




例えば、念を使わなくても強い人はいる。




(キルアとか、ハンゾーとか生身であれはすごいよね)




例えば、観察力と分析力だけで人の心の機微に触れるコトができるものなのだ、とか。




(クラピカって分からないこと、ないんじゃないかな?
……ちょっとクロロに似てる)




例えば、ルールに縛られない自由で面白い子もいるんだ、とか。




(私も大概だと思ってたけど、ゴンはもっと……切り口が違うのかも)




あと、そういう人達と友達になれる自分、とか。




(……知らなかったな。
私には蜘蛛(みんな)がいればいいんだと思ってたけど、違うんだ)




こんなこと、今やっと分かっているようじゃダメだ。
こんな、自分にばっかり一生懸命なだけじゃダメだ。





・・・・・
パタパタと小走りに廊下を進みながら、少女は自分のハンター証を、仕舞ってある鞄ごと抱き締める。




(だから、悔しいけど
私はまだ半人前なんだ……)






「ルカ~?もう行くよ~!」



廊下の突き当たり、
外界の光が射す広いロビーでゴンが手を振っている。

今から飛行船に乗ってキルアに会いに行く。



「お待たせ!」



ゴン達に合流したルカは鞄を肩からかけ直した。




さぁ、クロロにメールを打たなければ。

『ハンター試験が終わったら帰る』としか伝えていない。話したいことはたくさんあるけど、まだ帰れない。


でも、というか、だから
結びの言葉は決まっている。





『ちょっとだけでも、成長したら帰るね』











第6章 最終試験ー完ー



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