第6章 最終試験
「さて、以上で説明を終わります。
ここにいる8名を、新しくハンターとして認定します!!」
ガタン!
一通りの講習が終わるや否や、ゴンは席を立つ。……隣に座るルカに目もくれず。
(これと決めたらテコでも動かない、単純一途。ゴンは強化系かな?)
つい先刻、殺されかけたことにも気付かずイルミの元へ小走りに駆けていく背中を、ルカは微苦笑をこぼして見送った。
「ま、とは言え
ゴン1人を行かせられないよね」
己の呟きを言葉にし、ルカは机に両手を突っ張りながら勢いを付けて立ち上がる。
そして、こちらに目配せをくれている2人……クラピカとレオリオに「勿論、一緒に行く」と自らの思いを伝える為、近付いていった。
「キルアは俺の友達だ!
絶対に連れ戻す!!」
ゴンの強い意志を宿した瞳がイルミを捉える。
お決まりの無表情でもって、その決意をスルーしたイルミはゴンの背後に顔を向ける。
「後ろの3人も同じかい?」
「勿論よ」
「!」
イルミの問いに応えたのは、3人を代表したレオリオだった。
対峙するイルミに一生懸命で、ルカ達3人に気付いていなかったゴンが驚いた様子で振り向く。
目を見張るゴンに、ルカはウィンクして見せた。
「……いいだろう。
キルは自宅に戻っているはずだ。
『ククルーマウンテン』
この頂上に俺たち一族の棲み家がある」
考える素振りを見せたが、それも一瞬。
イルミはあっさりとキルアの行方を口にした。
ククルーマウンテンーー・・・
その地名には聞き覚えがあった。
クモの番号がひとつ欠けた時だ。
クロロが団員に話していたのを覚えている。
『ゾルディックと事を構えるような事態になれば、すぐ知らせろ』
・・・・・
世界中、暗殺一家は数あれど
まさかキルアの家がゾルディックだったとは。
(う~ん
もしかして、とは思ってたけど……
これって「事を構える」範疇に入るかな?
ていうか……ヒソカってばイルミと仲良くしてるし。あとで怒られても知らないんだから)
講習室を出ていく奇術師を横目で捉え、ルカは溜息をついた。