第6章 最終試験
「キルアにあやまれ」
燃える目でギタラクル、もといイルミに迫るのは気絶から目覚めたばかりのゴン。
それを見守るのは……ルカやクラピカ、レオリオ等、ハンター試験の合格者達。
第287期ハンター試験の合格者が決定して、まる1日が経過していた。
そう、つまりー・・・
キルアが受験生ボドロを殺してから、まる1日経ったということだ。
『殺してはならない』という最終試験のルールに違反したとして、審査委員会はキルアを不合格と判断した。
1日の休息の後、合格者に研修を施し、委員会は恙無く試験の全行程を終えたかっただろう。
ーーが、しかし、その進行を妨げる者があった。
キルアの不合格に異議を唱えたレオリオとクラピカの2人。
そして、今、イルミに対峙しているゴンである。
「キルアにあやまれ」
「あやまる……?何を?」
「そんなコトもわからないの?」
「うん」
「お前に兄貴の資格ないよ」
「? 兄弟に資格がいるのかな?」
いつかのルカとイルミのごとく、噛み合わない会話。
先にキレたのは、当然、最初からキレているゴンだった。
ガッ
いつもは温厚な眼差しに怒りを滲ませ、ゴンが力いっぱいイルミの腕を引き上げた。
細身とはいえ、長身のイルミが ぶわっ と宙に浮く。
「「「「!!!」」」」
怒りにまかせてイルミの腕を潰さんばかりに握りしめ、ゴンが叫ぶ。
「友達になるのにだって資格なんていらない!!」
目覚めたゴンが、あの最終試験の経緯を聞いて納得するハズがない。それは、キルアの憔悴ぶりを目の当たりにしたルカとて同じ思いだ。
(イルミには悪いけど、私もゴンに賛成)
絞り出すような声で「ごめん」と言ったキルアを思い、心中で呟いた。
次の瞬間
誰かがオーラを生み出す予兆を感じ、
ルカは迷わず床を蹴った。
ゴンとイルミの間に割って入る、その為に。