第6章 最終試験
「ルカさん、貴女という人は
何というか、貴重な経験をしていますね」
「そうかな?」
「よく無事だったと思います」
エヘヘ、と頭をかくルカ。
その様子を見て目を瞬かせるサトツ。
ジムグラードという国の神殿遺跡について、また、彼の国と少女の浅からぬ縁について、2人は時間を忘れて話し混んでしまった。
この部屋に来て、2時間ほどは経っただろうか。
「そろそろ会場に戻りたいなぁ」
「いけませんよ。
ルカさんは大事をとってココに。
ゴン君を看ていてあげて下さい」
代わりに私が試験を確認してきます、
とサトツが腰を浮かせた、
その時
バッ……!
2人は叩かれたようにドアを振り向いた。
殺気を隠そうともしない、禍々しいオーラが
まさにこの部屋に向けて発されたのだ。
「これは」
「……ギタラクルだよ」
サトツの呟きに、間髪入れずルカが応える。
(このオーラは確かにイルミ。でも、
誰かと戦ってるにせよ、
何でココに殺気を向ける必要があるの?)
ズズズ・・・
「!!」
オーラが更に強まる。
「………ルカさんはココにいて下さい。
やはり私が様子を見てきます」
「でも」
「ゴン君を頼みます」
ブーツを履こうとするルカの手を止めさせ、隣のベッドで休むゴンを見て、サトツは控え室から出て行った。
パタン………
ドアの閉まる音が響く。
「………………イルミ、なんで?」