第6章 最終試験
クラピカが心中で少女の名を呼んだ、
その時
バシッ
一際乾いた打撃音を響かせ、
真っ赤な血液と共に、真っ赤な花弁が舞う。
「「「ルカ!!」」」
ふわり、と
スローモーションの緩慢さで、花弁が床に落ちた。
するとー・・・
場違いな明るい声が、観者を驚かせた。
「あ~っぶな~い!」
そこには、左胸をかばうルカが焦った声をあげていた。
右手の甲から血を流しながら。
「あ~~っ?!半分散っちゃってる!」
「アレ?獲ったと思ったんだけどな♣」
声音は実に平和なものだが、
額に浮いた汗と、右手の傷の深さが彼女のピンチを伝えている。
「それと、ヒソカ!
殺したら失格なんだからね!」
「ああ、ごめんごめん♠
あんまりヨクて、つい我を忘れちゃったよ♥」
「忘れないで!」
「はいはい…っと◆」
会話の最後を引き取って、ヒソカが攻撃を再開する。しかし、ルカは同じ攻撃を許さなかった。
「!」
足を止めての受け身が不利なのはよく分かった。だったら、止まってなんかやらない。
と言わんばかりに、ヒソカを遠巻きに、高速で移動する。
「ふぅん♠早く終らせたいのかな?」
しかし、ヒソカは驚きもせず、ルカの後を追って姿を消した。
打撃音と残像を残して、2人は縦横無尽の鬼ごっこを再開した。
(…………で?
そうやって振り出しに戻っても
何も好転しないぜ?
ルカじゃ、ヒソカより先にガス欠する)
この様子を見て、静かに分析を続けるのはキルアだ。
(ルカは弱くない。
でも、どう考えてもヒソカには敵わないだろ
……一体、どうするって言うんだ?)
会場の中央
真っ赤な花弁が、血に濡れて光っていた。
まるで、そこだけ色があるかのように