第6章 最終試験
4次試験のタイムアップまで、ハンゾーはルカにつきあってくれた。
鬼ごっこと、隠れんぼという名の修行みたいなものに。
だからこそ、第1試合のカードを見ても、2人の無惨な戦いっぷりを見ても、「心配ない」とルカには思えた。
ルカとハンゾーのやり取りを見たレオリオは、かぁ~っと顔を赤らめ、クラピカはくっと口元を隠して笑う。
2人の会話と、ゴン相手に「まいった」と言ってみせた事実とが、かの忍の人となりを表しているというコトだ。
「フッ……彼女には敵わないな」
「何だよ、俺がバカみてぇだろっ……!
おい、ルカ!……勝てよな!!」
「うん!」
ぐ、と拳を握って見せ、ルカは己を待つ対戦相手の元へ歩みを進めた。
第2試合 ルカ対ヒソカ
「ずいぶん仲良しなんだねぇ♣彼らと」
「うん。羨ましい?」
「………♥」
手の中のトランプを操りながら、ヒソカが話しかければ、いかにも呑気にルカが応える。
何とも言い難い雰囲気・・・
対峙する当事者2人よりも、観ている者の方が緊張を強いられ、試験会場が静まりかえった。
その時ーー・・・
バッ
突然、ヒソカがトランプをばら蒔き、全員の目線がそこに集まった刹那
「?!」
「タネも仕掛けもございません◆」
先程まで絵札を操っていた右手に、真紅の薔薇2輪を握っていた。
「この薔薇を身体に付けて、先に花弁を散らされた方が『まいった』と言う……というのはどうかな?」
「私はいいけど……
ヒソカはそれでイイんだ?」
「キミと殺り合いたいのは山々だけど、殺したら失格だからね……♠」
チラリ、と恨みがましい視線をネテロに寄越して、ヒソカは肩をすくめる。
その様子を見るともなく、ルカは溜息混じりに片手を差し出す。
さっさとその花を寄越せと。
ルカは投げ渡された薔薇を、ヒソカは手にした薔薇を、2人は打ち合わせたように同じ場所に付けた。
胸の左に。
「よし!それじゃいくよ」
「お手柔らかに♥」
言うが早いか、
風切り音と共に両者の姿は消えていた。