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蜘蛛の娘 [H×H長編]

第5章 四次試験と面談


「もしかして……
欲しかったのは197番の方だったとか?」



「!! 誰だ!」




弾かれたように身体ごと振り返ったハンゾーは暗い瞳に殺気を放つ。

ハンゾーが己の存在に気付いていないのをいいことに、ルカが背後から気配を消したまま声をかけたのだ。
忍としては当然の反応である。

しかし、ルカは顔色ひとつ変えぬまま話しを続けた。



「驚かせてごめんね、忍者さん。
私はその198番のプレートを追ってきたの」


「……何?」


「忍者さんと同じだと思う。
ターゲットをキルアが先に倒しちゃって、
しかもキルアがいらないってプレートを投げちゃって」


「……ほぉ、確かに同じだな」



じっ、とハンゾーの目がルカの全身を警戒と共に映し出す。




(こいつは確か……3次試験をヒソカの次にクリアした嬢ちゃん、だよな)

(ただのガキじゃないとは思っていたが。
まさか、俺が背後を取られるとはな。

しかしーー・・・)





「……一体、何のつもりだ。
完璧に後ろを取ったなら、いくらでも殺りようはあったハズだ。何の理由があってそのチャンスを逃した?」



殺気をおさめることはせず、逆に眼光を増し、ハンゾーはゆっくりと言葉を発した。


が、しかし


突き刺さる殺気も、睨みをきかせた視線も、ルカは引き続きスルーした。





「そんなことより!
忍者さんが欲しかったのは197番のプレートだったんでしょ」


「ぐっ。お、おま」


「んで、間違ってこっちの198番の方を追って来てしまった?」


「……っわーるかったな!間抜けでよ!!」


「うん、だから私が197番のプレートを探してあげる。そしたら、その198番と交換してよ」


「!」




己の間抜け加減を再認識し、頭を抱えたハンゾーたが、続けて告げられた言葉に バッ と顔を向けなおした。



「何だって……?」



不思議な生き物を見るような表情に、
ルカは口の端をあげてわずかに微笑んだ。









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