第5章 四次試験と面談
「動かないでね
俺の指、ナイフより切れるから」
「………っ」
張り詰めた空気の中、驚愕に息を飲んだのは
キルアに首を押さえられた197番の受験生だった。
「あれ? こっちは197番か
も~、俺ってこういうカンはすげ~鈍いんだよな。
……ねぇ、アンタが199番?」
いとも簡単に人質を取られ、
あからさまな実力差を見せつけられ。
199番の受験生は成す術もなくプレートをキルアに投げ渡す。
離れた木の上から一部始終を見ていたルカは予想通りの結果にひっそりと笑う。
(さすがキルア、瞬殺)
ターゲットのターゲットがキルアだったのには少し驚いたが、ルカが様子見をしている間にキルアの方が先にしびれを切らせた。
4次試験開始からずっと尾行していたらしい197番、その兄弟である198番、199番を一瞬で蹴散らしてしまった。
(まー、そもそもモノが違うよね。
キルアは意識してないけど……オーラが違うもん)
ルカでなくとも分かるほど、キルアと、それにゴン、2人が垣間見せるオーラの片鱗は……すごい。たぶん才能なのだろう。
(だ~から、ヒソカとか、ネテロさんとかに絡まれちゃうんだろうなぁ)
「さて。こっちのいらないのはーー・・・」
(え?)
キルアの独り言で我に返ったルカが瞬きをする間に、自分のターゲットではないプレートを握ったキルアが振りかぶる。
「よっ」
ぶんっ
「今度はあっち!」
ぶんっ
197番と198番のプレートを力いっぱい放り投げてしまった。
(ええぇーーっ!)
予想外の事態に青くなったのはルカだ。
地を叩いて悔しがるアモリ三兄弟に背を向け、すぐさま198番のプレートが投げられた方向へと走り出す。
(も~~~!!
何でぶん投げちゃうかな~っ)
「?」
今、ルカの声がしなかったか?
「いや、気のせいか?」
難なくプレートをゲットしたキルアが足を止め、そんなコトを呟いていたのは・・・また別の話。