第4章 三次試験
三次試験開始から12時間経過ーー・・・
ゴール地点であるトリックタワー1階にたどり着いた受験生は、未だヒソカただ1人である。
彼はトランプを玩びながら、タワー上部、つまり天井に視線を投げる。
美味しく熟しそうな「果実」の名前は何といったか。
(405番ゴン、99番キルア、だったかな♠
早くここまでおいで、早く……早く……)
「……くくくっ♥」
ヒソカの口から噛み殺し損ねた笑い声が漏れた、丁度その時……目の前のドアが音を立てて開いた。
ゴォン!
『4番ルカ、301番ギタラクル。三次試験通過第2号、同じく第3号!所要時間12時間10分!』
「あれ、もう終わってたんだ」
「・・・・・・」
イルミの開口一番の言葉に、誰よりも饒舌なはずの奇術師が珍しく反応を示さない。
「12時間か。ヒソカはどのくらいでクリアした?」
「・・・・・」
自身に突き刺さる負のオーラを感じながら、ルカは自分の目線より下にあるイルミの肩を叩いた。
「イルミ、とりあえず降ろして。ヒソカがびっくりしてるから」
そうーー・・・なんと、
ルカはイルミに抱き上げられた状態でゴールしたのだ。
面識のなかったハズの2人が抱き合って(語弊甚だしいが)の登場。ヒソカの驚きぶりが「絶句」というカタチで現れている。
常とは異なるヒソカと、自身が片手で抱きあげているルカとを交互に見るイルミ。
………だが、それでもルカを手放そうとしない。
その様子に、ヒソカの眉が片一方だけはねあがった。
その段になり、ようやくイルミはルカを床に降ろし、素早く両手を顔の横にあげた。
所謂ホールドアップの格好だ。
「何もしてないよ。一緒に試験をクリアしただけだ」
「………ルカ、おいで♠」
「?」
珍しく低い声音で名を呼ばれ、ルカは素直に従う。
壁際に片膝立てて座るヒソカの元まで、小走りで寄っていく。
「えっと、イルミの言った通りだよ?『協力する2人の道』ってルートで…」
「 お ・ い ・ で ♠ 」
(あー・・・ちょっと、怒ってる?)