第4章 三次試験
「へぇ、ルカって念使えるんだ。
でも試験中はオーラ出してなかったよね?」
「使えない真似してるの。普段はね」
「じゃあ、飛行船で念を使ったのって君?
ヒソカに聞いても知らないって言うから、試験官の誰かだと思ってたけど」
「うん。昨日のは私」
「というか、ヒソカと知り合いっていうのも驚き」
「…あはは~」
笑ってごまかすが、彼の念能力や系統を言い当てたことは全て「ヒソカに教えてもらった」で押し通したところだ。
(はは……ホントは【不可避の眸(イーグル・アイ)】で視ちゃったんだけど)
ルカが念能力者であること、また彼女がヒソカと旧知であることを伝えると、301番、もといギタラクルはあらかた納得したようである。
人が変わったように饒舌になった、のだが。
「で、ヒソカとどういう関係なわけ?」
(これには困った、ぞっ、と……)
「え~っと、まぁ、色々ありまして」
「ふぅん」
ピンがあちこち刺さった顔を向け、まじまじと見つめてくるギタラクル。
「あっ!そんなことより、明かりが見えるよ!」
(ナイスタイミング!次の部屋っ!)
2人で並んで進むのが精一杯、という狭い道を30分ほど歩かされただろうか。
ルカが助けられたのは、漏れ見える明かりと次の部屋への入り口だった。
ザッ……
狭い通路から一転、広い部屋に2人は足を進める。
ほぼ正方形、否、立方体の空間。
その四隅には赤々と松明の炎が揺れている。
隠れるものもない部屋の中心に、プロレスラーのような巨体が2人、待ち受けていた。
「我々は審査委員会に雇われた『試験官』である!
この『協力する2人の道』では100人の試験官と戦ってもらう。
勝負は常に2対2!
ただし、どちらか一方が敗れた場合はもう一方も敗れたものとする。
勝負は負けを認めるか、死亡した者を敗者とする。
お前達はこの50階から1階まで、全てを勝ち進むしかない!2人で協力してな!!」
思わず拍手を送りたくなる大音声で叫んだ試験官を視界に入れつつ、ルカは隣に聞いてみた。
「だって。どうする?」
「どうするも何もないでしょ。
ルカは右、俺は左ね」
言うが早いか。
ギタラクルは床を蹴り、高く跳躍していた。