第4章 三次試験
「この扉、どうやら1回きりしか開かない仕組みらしいんだ。ね?キルア」
ルカとごちゃごちゃやっているところに、ゴンが話をふってくる。
「あーと、
つまり扉は1人に1つずつ。皆バラバラの道を行かなきゃならないってこと」
「キルアと俺はこの中の1つを選ぶことに決めた。ルカ、レオリオ、クラピカはどうする?」
「うん、私も1つ選ぶよ」
ゴンの問いに、ルカはごく自然に答えていた。
(ちょっと不思議な感じ・・・
まだ出会って1日2日。ほんの少しの時間しか一緒にいないのに、もうずっと一緒だったみたい)
ルカは改めて、ゴン達との縁を思い返す。
(クロロとかヒソカとか、クモの皆とは違う。友達ってこんな感じかな?)
(・・・あれ?
考えてみたら、私って今まで友達がいなかったのか。
嫌だ。なんだか暗い人間みたいじゃない?)
・・・・・・・・・・。
「ねぇ、私って暗い人間に見える?」
「「「「 は? 」」」」
それぞれ降りる扉も決まり、今まさに扉の下に行こうというときに・・・この少女は一体何を言い出すのか。
問いかけられたルカ以外の者は、4人それぞれに顔を見合わせた後、同時に答える。
「「「「 見えない! 」」」」
「・・・だよねぇ!よかった~
それじゃ、行こうか!」
「待て待て待て待て!
何なんだよ、おめぇは!
ここは1、2の3、で全員で行くんだよっ」
噛みつかんばかりのレオリオを、クラピカとゴンがどーどーと宥め、脈絡のないルカにはキルアが頭ひとつ叩いてツッコミを入れた。
見る者があればコントのようなじゃれあいを終え、今度こそと、レオリオが音頭を取る。
「よし!ここでいったんお別れだ。
地上でまた会おうぜ!
・・・1、2の、3!」
カコン!!
扉が人の体重に押されて可動する音と同時ーーー
5つの影が飲み込まれていった。
三次試験『トリックタワー』
受験生は、まだこの試験のスタートラインにも立っていない。
そのことにルカ達5人が気付くのは
あと数瞬だけ先、である。