第4章 三次試験
ゴオン・・・と、最後の咆哮のような音をたてて飛行船が着陸した。
そこは「大きな円筒状の建築物」としか表現できない、味もそっけもない建物の頂上部分である。
「ここは『トリックタワー』と呼ばれる塔のてっぺんです。三次試験の内容は・・・生きて下まで降りてくること。制限時間は72時間です。
それではスタート!!」
「うあ~」「げろ」
タワーの外壁を伝って降りようと試みた受験生の末期に、ルカとレオリオはそれぞれ感想とは言えない言葉を口にした。
まぁ、怪鳥に生きながら食い殺される人間を目の当たりにして、言える言葉など限られている。
並んでソレを目撃したルカとレオリオ、クラピカの3人は、顔を見合わせる。
「ああやって降りるのは無理みたいだね」
「だな」
「きっと、どこか下に通じる扉があるはずだ」
どこか、と言ってもここは風の吹き抜ける塔のてっぺん。
(扉があるとすれば、この床しか考えられない・・・よね)
ルカは踵で床を叩きながらレオリオとクラピカの後をついて歩く。
こつこつ、こつこつ、
こつこつ、こつこつ、
こつこつ、カコン・・・。
「あ」
見つけた、
そうルカが声を出そうとしたとき、
別行動をしていたゴンがルカ達3人の名を呼んだ。
どうやら、ゴンとキルアも隠し扉を見つけたようだ。
ゴンの話を聞きながら、ルカはキルアを見やる。
(・・・よかった、変わりないみたい)
昨夜の名残を探るようなルカの視線に気付き、キルアがスッと傍に寄る。
「ルカお前、あの後ジイさん相手にすげぇ技繰り出したんだって?
見学だって言ってたクセに」
「え?あ~・・・それはホラ、
我慢できなかったって言うか・・・えへ?」
「えへ、じゃねぇよ!
次は俺がいるときにやれよな!」
じと~っと不満顔を向けてくるキルアに「次は必ず」とルカが約束するが・・・
「・・・なにニヤニヤしてるんだよ?」
「ん~ん、なんでもない!」
(ホント、元気出たみたいでよかった!)
ニコニコ笑うルカに、キルアが「意味わかんねェ」と言って舌打ちしたのは言うまでもない。