第3章 二次試験と飛行船
「♪~」
部屋を後にしたルカの足取りは実に軽やかである。
先刻、ネテロとの攻防の刹那ーーー
まんまとネテロを『視る』ことができたからだ。
(・・・『百式観音』か。すごいチカラ)
特質系能力者であるルカの能力
【不可避の眸(イーグル・アイ)】
念能力者同士の戦闘では、凝をして相手のオーラの所在を見ながら戦うのが一般的である。
【不可避の眸(イーグル・アイ)】は、念の初手である凝に特化したものである。
『凝をして対象を見る』と『対象の能力を知る』ことが出来る。
ネテロ相手に、キルアの技を真似て分身を具現化したり、不意討ちで攻撃したり。
すべてはネテロを「凝」で見つめても不自然ではない、その状況を作り上げるためだったのだ。
【不可避の眸(イーグル・アイ)】で感知できるのは・・・
○ 対象が用いる能力の名称
○ 対象が認識している能力の威力、内容、発動条件ほか、全ての詳細
○ 対象の念系統
そう、
ルカは見つめるだけで能力者を丸裸にすることが出来るのだ。
しかし、この能力にも制限がある。
○感知した能力を第三者に伝えることが出来るのは、あらかじめルカが対象に伝えた情報のみ。
つまり、「ヒソカは【伸縮自在の愛(バンジーガム)】を使う」という情報を誰かに伝えたい場合、ルカはまずヒソカに【伸縮自在の愛(バンジーガム)】と言い、自分が能力名を『盗み視した』事実を暴露しなくてはならない。
さらに能力の詳細を伝えようとすれば、それだけルカがリスクを負うことになる。
よって、せっかく『視た』ネテロの能力も
現段階では、ルカ以外の人間に伝えることは出来ない。
「ま、いつか役に立つかも知れないし!
あれだけの力量差を見せつけられて、何も盗んで来れなかったら大損だもん」
誰に聞かせるでもない独白が、
ルカ自身気付いているか否か、立派なクモの一員と言えなくもない。