第3章 二次試験と飛行船
再開されたゴンとのゲームの最中、
ネテロは先刻の攻防を思い返していた。
そう、ルカとの念能力の攻防をーーー
ゴンが指摘した通り、ルカとキルアの技は全く異なる性格のものである。
キルアの技は「肢曲」
暗殺術のひとつである「暗歩」を高等応用した技だ。
訓練を重ねた巧妙な足運びが、無数の残像を生み出す。
一方、ルカの技は念能力である。
己のオーラを精練して作り上げた分身を、操り人形のように動かして見せた。
とっさに、キルアの肢曲をカタチだけ真似たのであろう。
それを迎え撃ったネテロは・・・
正直、驚いている。
オーラを拳に纏わせ、ルカの分身をひとつ残らず叩き爆ぜたのだが、
分身に触れた瞬間、ルカが具現化系でも操作系でもないことは、即座にわかった。
(にも関わらず、あの精度、あの速度、あの反応の分身を具現化し、操ってみせるとは・・・)
能力者であることは承知していたが、ここまでオーラを使いこなしているとは思っていなかった。
そして、えもいわれぬ違和感・・・。
ルカは何故このタイミングで仕掛けてきたのか?
彼女は具現化系でも、操作系でもない。
その辺りにあの小さな策士の真意が隠されているような気がしてならない。
「何?ネテロさん?」
「あぁ、いや。何でもありゃせんよ」
ネテロの口許が歪んだのを見たゴンが訝しげに首を傾げ、それでもボールに手を伸ばしてくる。
その手をネテロが遠慮なく叩き落とす。
「あっま~い!」
「くっそ~!もう1回!!」
(ファーストコンタクトで全てを曝すような愚行は慎むべし・・・あの子の教訓はここら辺かの)
そう思い至り、ネテロはもう一度口の端をあげた。