第3章 二次試験と飛行船
午前1時過ぎ。
ネテロとのゲームが始まって5時間は経っただろうか。
ギブアップを宣言したのはーーー
意外にもキルアだった。
「まだやる、ネテロに右手くらい使わせてみせる」と言うゴンと、飽きもせず見るだけを続けるルカに一声かけて、部屋を後にする。
(? ・・・キルア?)
あまりにもアッサリした引き際に違和感を感じ、ルカはキルアの表情を確かめようとする。
が、あらぬ方向を向いたそれを見ることは叶わなかった。
(・・・でも)
ルカはひとり口許を緩める。
目端の利くキルアがいなくなったら、試してみたいことがあったのだ。
ちょっとした好奇心
純粋な興味
ハンターの頂点に立つのであろう、
実力者ネテロの能力を「視て」みようかーーー
よからぬことを考えているルカをよそに、ゴンはネテロに質問をしている。
「さっき、キルアがゆっくり歩いてたのに何人も見えたんだけど。
あれってどうやるの?」
「あれは闇商売の専売特許みたいなもんじゃ。お主は・・・」
知る必要がない、
そう続けようとしたネテロが顔を跳ね上げた。
ゴンに向けて下げていた視線を、壁際に立つルカに向けたのだ。
ネテロから遅れること一瞬後、
ゾクッ・・・
と、総毛立つ感覚にゴンが振り向く。
そこには、
2人に向かって微笑むルカが・・・「何人も」立っていた。
そう、先刻のキルアのように何人も。
「えっ?!」
ゴンは驚きで二の句を次ぐことが出来ない。
それでも、ルカ、と呼びかけようとした刹那。
「ルカ達」はネテロだけに視線をあてて、音もなく床を蹴った。
「うわっ・・・!」