第3章 二次試験と飛行船
『いいか、ルカ
悟られるな、気取られるな、見つかるな。
それが、お前の役割だーーー』
耳に慣れた声が、ルカの名を呼ぶ。
(わかってる)
(わかってるよ、クロロ)
ふるふるッと頭をふって、ルカはゴンに「ごめん」と言う。
「私は正規の試験を受けて合格したいから、
やっぱりこのゲームは見てるだけ。」
「そっか。うん、じゃあ俺とキルアでがんばるよ!」
「がんばって!」
本当は、ものすご~く興味がある。
あの技を使うキルアにも、更にあの技をものともしないネテロにも。
でも・・・
(ネテロさんはどう考えても私より格上だし、キルアはすごく勘がイイ。・・・ゴンは、まぁ、大丈夫だろうけど)
『悟られるな』
ルカは、己の能力(チカラ)が露見することを恐れていた。
ネテロ、キルア、ゴン・・・そして、ルカ。
4人しかいない、この狭い空間で能力を使えば、それがどんなモノなのか容易に知れてしまうかもしれない。
せめて、ネテロかキルアか
どちらかいなくなれば或いは・・・
「ふむ、なんじゃ情けないの~
この分だと、このゲームの方が
本試験より難易度が高いということになってしまうかの~」
ルカの思考を破って、ネテロが呑気につぶやいた。
「こんのジジィ・・・
おい、ゴン!お前後ろ回れ!」
「えっ、2人がかりでいいの?!」
「いいんだよ!こんな化け物ジジィ!!」
「ほっほっほっ」
そのまま、ルカ以外の3人は
何時間もボールとともに弾み続けたーーー