第3章 二次試験と飛行船
「そっちはどんな攻撃も自由、ワシの方は手を出さん」
「・・・ただ、そのボールを取るだけでいいんだね?じゃ、俺から行くよ」
「ご自由に」
「・・・」
(・・・あ~あ~、キルア怒らせて)
ルカは半分呆れ顔で見ている。
いきなり現れて、「ゲームに勝てばハンター資格をやる」だなんて無茶を言うと思ったら・・・何のことはない。
(要するに、
暇潰しに付き合えってことだよね)
なんとも職権乱用というか、意外にお茶目というか、どちらにせよルカは胸を撫でおろしていた。
『エライ人』がやって来て、「念を使ったから失格じゃ!」なんて言われるかとハラハラしたが、どうも心配する必要はないらしい。
そんなことより、どんどん目が据わってきたキルアの方がよほど心配である。
「キルアだいぶ怒ってるね」
「うん、大丈夫かな」
ルカは傍らのゴンと苦笑を交わしあう。
しかし・・・
キルアが見せた初手に、苦笑は驚きへと変わった。
スウゥー・・・ッ
「!?」
足音も衣擦れの音もなく、
キルアの虚像が幾重にも重なるーーー!
これには流石のネテロも感嘆の息を吐く。
「ほう」
(この歳で肢曲を嗜むとは、末恐ろしい子じゃの~)
感心しながらも、ネテロはキルアの攻撃をかわし続けている。
(すごい・・・・!
どうして残像があれだけ見えるの?!
キルアの足は決して速く動いてるわけじゃないのに!)
「ルカ!すごいよね、アレ!
ネテロさん、どうやって避けてるのかな?」
「・・・だね!あれ、見えてるのかな?」
(ううん、見てないのかも。
だって、私でも見えない・・・目じゃないのかも)
瞬きも許さない攻防に、ルカのテンションも一気に上がっていく。
「ねえ!やっぱりルカもやろうよ!
楽しそうだよ?」
「う~ん」
目をキラキラさせて誘ってくるゴンに、ルカは悩ましげな顔をして見せた。
(たっ・・・確かに楽しそう~!でもな~)
実は、このゲーム
ルカは参加しないと宣言していた。