第3章 二次試験と飛行船
「ハンター審査委員会の船だってのにシケてんな~」
「面白いもの、何もなかったね」
飛行船が飛び立つなり、探検を始めた最年少3人は落胆を口にしていた。
「でも、眺めはすごいよ!」
ゴンの声に窓の外を見れば、キラキラと耀く夜景が広がっていた。
「ホント、宝石みたい!」
「うわ、すげ~」
ルカとキルアも歓声をあげる。
3人は足を止め、流れゆく窓景に向かいながら、ポツポツと他愛もない話を始めた。
キルアに最初の質問をしたのは、ゴンだった。
「・・・キルアの父さんと母さんは?」
「んー?生きてるよ(多分)」
次の質問をしたのはルカだった。
「何してる人なの?」
「・・・殺人鬼」
最後の質問は
「「両方とも?」」
二重奏になった2人のものだった。
同じ言葉を、同じタイミングで発したルカとゴンは驚いて目を見合わせているが、キルアは2人の反応が想定外だったことに驚いたようだ。
「おもしろいな~お前ら。
マジ面でそんなこと聞き返してきたやつ、初めてだぜ?」
「「だって本当なんでしょ」」
また二重奏。
今度は2人ともキルアから目を反らしもしない。ルカもゴンも、いたって真面目な顔をしている。
だから、というわけでもないがキルアは続けることにした。
「俺んち、暗殺稼業なんだよね。家族ぜ~んぶ。その中でも俺、すげぇ期待されてるらしくてさ」
「へぇ・・・」
「でもさ、俺ヤなんだよね、人にレール敷かれる人生っての?『自分の将来は自分で決める』って言ったら親兄弟キレまくりでさ~」
「あぁ~」
「結局ケンカになって、家おん出てやった!」
「え!キルアも家出? 私も!!」
「マジで?ルカんち、仲いいみたいなこと言ってたじゃん」
仲良くてもケンカはするよ、もぉ、大喧嘩!とルカは憤懣やる方ない様子でまくしたてる。
「ヤだよね!子供扱いするアニキ面!」
「あぁ~、わかる!俺もヤだ」
「俺は兄弟いないから羨ましいけどな~」
「「くれてやる!!」」
・・・目を奪われたハズの夜景なんか置き去りにして、3人はしゃべり続ける。
そこへ、ひとつの影が忍び寄るーーー