第3章 二次試験と飛行船
「次は俺だ!」「俺だ!」
現在、試験官メンチの前に審査待ちの行列ができている。
『スシ』の作り方がバレてしまい、全員が審査待ちという状況なのである。
「じゃあ、クラピカがスシのこと知ってたんだ」
「あぁ。文献のうえで、だがな」
「なんだ、やっぱりあんたか。
オッチャンが知ってるなんておかしいと思ったぜ」
「てめ、キルア!俺はオッチャンじゃねぇ!!」
遅々として進まない行列にあって、この5人は騒がしい。
「う~ん、これがスシかぁ
食べてたのに分からないものだなぁ……」
「ルカはスシを食したことがあるのか?」
ルカの呟きを聞き咎めたクラピカの言葉に、(さっきは知らないって言ってたけど?)という顔を向けてくるのはゴンとキルアである。
「食べたことはあったけど、『これがスシなんだ』ってことは知らなかったの。
家族が作ってくれたけど、料理名は教えてもらわなかったから」
「こんな民族料理が出てくるたぁ、どんな食卓だよ?」
「ルカはジャポン出身なのか?
スシはジャポンという島国特有の民族料理のハズだが」
この11歳らしからぬ少女の出自には、4人とも少なからず興味があるようだ。
年長組が投げかけた質問に答えようとするルカに、4組の視線が集中する。
「私じゃなくて、スシを作ってくれた人の出身がジャポンなんだ。
家族なんだけど、血は繋がっていないから」
「……! そうなのか」
「うん。私、捨て子だったから」
「へぇ~、意外。
ルカって両親揃ったお家でヨイコに育ちましたーって顔して」
「「「キルア!!」」」
無神経な一言を言い切る前に、他の3人から総ツッコミを受けたキルアである。
それには気もくれず、ルカは楽しそうに話を続ける。
「ジャポンって色々面白いよ?
キモノっていう民族衣装とか、カタナっていう武器とか」
「おお!カタナなら知ってるぜ。良く切れる片刃の剣だよな?」
「そうそう!じゃ、レオリオ今度一緒に……」
「いやっ!知ってるだけだ!
俺ァ、カタナなんか使えねぇぞっ!!」
キルアを羽交い締めにしながら、ルカと話していたレオリオだが……なぜか青ざめて「ムリムリムリ!」と、首を振るハメに陥ってしまった。