第3章 二次試験と飛行船
ルカ達同い年3人組は、試験会場から一番近い川辺でクラピカ・レオリオ年長組と合流していた。
「しかし、ゴンは釣竿があるからいいとして……ゴン以外は何で魚を捕らえるつもりだ?」
すでに水で足を濡らしているメンバーに向かって、クラピカが至極もっともな疑問を口にした、その時。
パシャ……ッ
ルカが右腕たけを動かす。
ちょうど、ソフトボールの投手のように身体の横に円を描いて。
水音と、飛沫をあげたその動作に目を瞬かせた、
次の瞬間ーーー
一匹の小魚が、まるで上空から降るかのごとくクラピカの視界上空から現れた。
そして、小魚は用意されていたルカの手の中に落ちた。
「一匹ゲット!
あ、でもちょっと小さいかな?」
「はあぁぁ?!素手でってお前、マジかよ?!」
「すごいね!ルカ!」
少し離れた場所から見ていたレオリオとゴンから声が上がった。
ゴンは称賛の表情だが、レオリオは信じ難いものを見る顔で、ルカとルカが捕らえた魚とを見比べている。
クラピカも、どちらかと言えばレオリオと同じ思いを込めて、目の前の少女を凝視せずにはいられなかった。
例え名人と言えども、泳ぐ魚を道具を使わずに捕らえるなんて、簡単なことではない。
ましてやルカのような年少者が、しかもほとんど一瞬のうちに、だなんて……
パシャ!パシャ……!
次に起きた水音に首を振ると、そこには二匹の魚を手中に収めたキルアがいた。
ルカに瞠目している者をよそに、彼もまた素手で魚を捕らえていたのだ。
「あ~ホントだ。小さいかもな。
もちっと深いところならいいんじゃないのか?」
「じゃあ、あっち行ってみようよ!」
呆気にとられるクラピカらを置いて、ルカとキルアは連れだって川の上流に進んで行く。
「……ったく、一次試験で先頭走りっぱなしだってんだから、想像はしてたが……。
化け物じみたガキはゴン1人で十分だっての!」
「ルカもキルアも単独で試験会場までたどり着いている。
相当な実力の持ち主と考えていいだろうな」
(いや、相当以上の実力の持ち主なのだろう……)
クラピカは独り言を飲み込んだ。