第2章 一次試験
「レオリオ!!」
声の届く距離まで近付くと、
レオリオは気絶したまま木の根元に座らされたところだった。
ヒソカはレオリオを置き去りにして
こちらへ歩を進めてくる。
漏れ伝わる独特のオーラを気にするでもなく、ルカも彼に近付いていく。
「大丈夫、殺してないから◆」
「……うん」
「あとの2人もすぐ来るよ♠」
「うん」
すれ違いざまにそれだけ言うと、
ヒソカは受験生の群れに消えていく。
受験生相手に遊んできたのだろう。
……命がけで。
ヒソカの服に飛んだ返り血と、頬を腫らせて絶賛気絶中のレオリオを見れば、
漠然と事の成り行きがわかる。
(走るのに飽きて、ヒソカがヤっちゃったんだろうな。
レオリオは……
ヒソカに攻撃しようとしたのかも。
んで、結果ぶん殴られて気絶中、と )
ルカはケガの具合をみながら、
ふっと軽くため息をつく。
(だいぶ手加減して殴ってる……
この分なら、ゴンとクラピカも無事に追いついて来るな)
安堵の息を吐いたのだ。
殺しはしないと思っていたが、ヒソカの気まぐれは誰にも予想出来ない。
ーーーそう、本人にさえも。
(ま、大したことなさそうだけど……)
ルカは視線だけを巡らせて、辺りをうかがう。
イイイ……ン
空気が鳴動する音が響き、
周囲の喧騒に紛れて消えていく。
「よし!これで勘弁してね」
そう言うと、ルカはレオリオの頬にかざしていた掌をそっと外す。
己のオーラをほんの少し分け与えることで、レオリオの自己治癒能力を強化・促進させたのだ。
(コレくらい良いよね)
『念能力は使うべからず』というルールを忘れた訳じゃない。
しかし……
(ヒソカなんかちょいちょい使ってるけど、
別に失格になる訳じゃないし。
ヒソカのせいでこんなにしちゃって、
かわいそうだし)
一通り言い訳を頭に浮かべていると、
僅かな身動ぎとともにレオリオが目を開けた。
「うっ……」
「レオリオ!」