第2章 一次試験
「それじゃ、私はこれで。
健闘を祈ります」
唐突に、そしてあっさりと
サトツが一次試験終了を告げる。
ヌメーレ湿原を抜けたところから広がる
ビスカ森林公園。
その一角に建つ、体育館のような建物には
『本日正午 二次試験スタート!!』
と記された貼り紙が見える。
建物の正面を望める範囲で、ほぼ半日走りっぱなしだった受験生が荒い息を整えている。
彼らに背を向けたサトツは
整えるほど息を乱していない、数人の受験生を目ざとくチェックしていた。
(294番、301番、99番、4番……
今年の受験生は豊作ですなぁ )
「どうしよう、ゴン達追いついてないのに~」
「知るかよ。
追いついて来るっつったのはルカだろ」
「え~~……キルア冷たい」
「なんとでも」
話しながらもルカは
ゴン達3人を探している風で、きょろきょろと首を巡らせている。
「も~諦めろよ。とても合流は……」
出来ない、
そうキルアが続けようとした刹那ーーー
2人は叩かれたように背後を振り返った。
「っ……!」
あり得ないほど、
あからさまな、
殺気。
そこには
眼を細めて笑む長身の奇術師がいた。
キルアは投げつけられた殺気の禍々しさに、
ルカはヒソカがその肩に担いでいるモノに、
それぞれ息を飲む。
体に染みついた習慣か。
生物のもつ本能か。
キルアが片足を後ろに動かそうとした
その時……
逆にルカはヒソカに向かって駆け出そうとした。
驚いたのはキルアだ。
慌ててルカの二の腕あたりを掴み、寸でのところで留まらせる。
「おい! ルカ! 待てって」
「ヒソカが担いでるの、あれレオリオだよ!」
なおも止めようとするキルアを振り切って、
駆けて行ってしまう。
後を追おうとするが、
流れてくる殺気が強まるのを感じ、キルアはその場を動くことができなかったーーー……