第2章 一次試験
どさっ
顔面にトランプが食い込んだ男、
否、男だった死体が地面に転がった。
そして、同じ様に飛ばされたであろうトランプを防いだサトツと、トランプを飛ばした張本人ヒソカとが対峙していた。
「そっちが本物だね♥」
トランプを操りながら、奇術師が続ける。
「試験官というのは、審査委員会から依頼されたハンターが無償で任務につくもの♠
我々が目指すハンターの端くれともあろう者が、あの程度の攻撃を防げないわけがないからね♣」
「褒め言葉ととっておきましょう。
しかし、次からはいかなる理由でも、私への攻撃は試験官への反逆行為とみなして即失格とします。
よろしいですね」
「はいはい◆」
つまり、殺すつもりで繰り出した攻撃を防ぎ得るか否か……ヒソカが試験官であるサトツと、死体に成り果てた男を試したのだ。
(無茶するなぁ……
だーから失格になっちゃうんだ)
ルカは心の中で呟く。
……とりあえず、この湿原の危険性を理解することが出来たのを良しとして、サトツは一次試験の続行を宣言する。
「それでは参りましょうか、二次試験会場へ」
再開された一次試験は……
受験生にとって、まさに難関であった。
先導のサトツからはぐれてしまった一団など、百人単位が悲鳴と怒号の渦に巻き込まれている。
ぬかるみに足を取られる。
濃霧が視界を遮る。
おまけに、得体の知れない動植物。
己の力量を見誤り、ここへ来てしまった者の末路は……皆まで言わずとも。
どう考えても、陽気にマラソン出来る場所じゃない。
だが、そこをトップで走り続けているのは
年端もいかない子供2人
キルアとルカだった。