第2章 一次試験
「「うわ~~~っ」」
ルカとゴンは声をひとつにして『詐欺師の塒(ねぐら)』と異名を持つヌメーレ湿原を見やる。
「ここを通らないと二次試験会場にはたどり着けません。死なないようにしっかりついて来てください」
(……あれ?)
サトツが説明する間にも、ルカは『詐欺師』の気配を察していた。
(何か狙ってる……攻撃?
ううん、でも何か仕掛けてくる……)
ルカが気配の出所に気を向けると
まさにその場所から人影が見え、
大声が発された。
「ウソだ!そいつはウソをついている!!
そいつはニセ者だ!試験官じゃない
俺が本当の試験官だ!!」
何者かにやられたのであろうか、傷だらけの男がサトツをしかと示しながら叫んでいる。
受験生の視線が男に集中する中……
ルカだけは男と逆の方向に顔を向けた。
キルアがそれに気付いて、肘の先で小突く。
「何見てんの?」
「ううん、何でもない」
目だけで笑って見せてから
男の方に向きなおる。
ルカが彼と視線を絡ませたのは
瞬きの間もなかった。
それでもルカにはありありとわかる。
彼、ヒソカが白い面に湾曲した赤い亀裂を走らせている様が。
「人面猿は人肉を好む。しかし……」
口上を続ける男と、淀みかけている空気
それらを文字通り切り裂いて
禍々しいまでの殺気と
数枚のトランプが……
飛ぶハズだ。
「そいつはハンター試験に集まった受験生を
一網打尽にする気だぞ!」
ひゅっ
「がっ……」
「!!!」