第2章 一次試験
ドドドドドドドトドドドド…………
ハンター試験開始からおよそ6時間経過。
暗く長い地下道には、約400人分の足音と荒い息遣いが満ちているばかりである。
「キルアってスケボー、何年位やってるの?」
「私、勉強苦手なんだよねぇ、
ゴンとキルアは得意な教科ってある?」
「ゴン達3人はどこで知り合ったの?」
などなど……
ゴンとキルア相手に、道々、ルカは他愛のない話をして良く笑った。
その間も、足は休ませない。
「キルアもルカもすごいね!
まだ全然平気そうだもん」
それまでの平淡な道から、一転、
彼方上方に伸びる階段へと走る道が変わったあたりで、ゴンが驚嘆の声をあげた。
「平気だけど~
これ地上まで登るのは、ちょっと嫌かも」
「……ルカなら楽勝だろ?
ってーか、もっと前行こうぜ」
2人に向かって顎をしゃくって見せたキルアは、階段を蹴るようにしてスピードを上げる。
と同時に、
ルカの身のこなしを目の端で再確認する。
(だいぶ動けるな。
下剤を当てたのもマグレじゃないとしたら……おもしれぇ)
キルアの口角が僅か歪んだことに
気付いた者はないーー…
3人は受験生の間を縫うように走り抜け、
いつの間にか一番前、試験官・サトツのすぐ後ろまで来てしまった。
ドドドドドドドトドドドド……
相変わらずの地響きを背中で聞きながら
話題は受験の動機について、である。
「ゴンはお父さんみたいなハンターになる為
キルアは面白そうだから、かぁ」
「ルカは?何でハンターになりたいの?」
「私は……一人前の証が欲しいの。
ハンター試験に合格したら、もう半人前だなんて言われなくて済む」
「半人前って言われんのか?お前が?」
「家族にね。
だからハンター証を持って帰って、
見返してやるの」
「「へぇ~」」
「あ!見て、出口みたいだよ!」
ルカの声に、ゴンとキルア以外の受験生も騒ぎ始める。
薄暗い地下に慣らされた目には、
仄かな外光も刺激に変わる。
眩しくて思わず細めた両目に映り込んだのは
地平線さえも侵して広がる、
広大な湿原だったーーー…