第11章 天空闘技場 約束
全治4か月のゴンはベッドから動けない。しかも、ウイングとの約束で念の修行も禁止されてしまった。
(まぁ、元はと言えばゴンが悪いんだけど)
ちら、とルカはベッドの上で燃(強い意志を持つ鍛錬)に集中するゴンを盗み見る。
ウイングの言いつけ通り、ゴンの部屋に集まって燃を行うようになり、はや10日。……キルアにお説教されてから、もう10日経った事になる。
「さて、と。
私、ちょっと抜けてもいい?」
ルカは頃合いを見て立ち上がった。
「え、どうしたの?」
「ほら、着た切り雀も限界だから、新しい服を買って来ようと思って」
ゴンの質問に応えながら、ルカはジャンパースカートの裾を手でつまんで見せる。
「ネットで買えるよ?」
「天空闘技場(ここ)ってショッピングモールもあるし、ついでに色々見たいもん。
あ、何か欲しいものある?お土産買って来ようか」
「俺、チョコロボ君!」
「「キルア……」」
億万長者のくせに駄菓子ばかり好む元殺し屋って……。と、一通り呆れてから、ルカはゴンの部屋を後にした。
(うわぁ、あのケーキすごい綺麗!
美味しそ~)
宝石のように美しいケーキが並ぶショーケースの前でルカは足を止める。
替えの洋服や日用品を早々と購入し終え、今は広大なショッピングモールの一角をぶらぶらしているところだ。
(あっちの肉まんも美味しそうだなぁ)
色気より食い気とは良く言ったもので、見るからに美味しそうな料理を前にして、あっちこっち目移りしてしまう。
(2人の好きそうな物でも買って帰ろう)
……とゴンとキルアの顔を思い浮かべ、ルカは思わず思い出し笑いを噛み殺した。
キルアに説教されて、部屋に帰ったあの日。
全身怪我だらけのゴンに、キルアと同じように怒られてしまった。
曰く、もっと俺達を信じてよー…!と。
(「俺達はルカを信じてる」って、ゴンてば熱いんだから。そうだよね?って振られたキルアが顔赤くしてたよ)
ふふ、と噛み殺し損ねた笑みをもらしながら、やはりルカの顔は嬉しそうだ。
キルアに説教された時も、ゴンに怒られた時も、そして今も。