第11章 天空闘技場 約束
余りに予想外な言葉に、ルカは思わずおかしな声を出してしまった。
「な、なんで私がキルアに説教されるの?!」
隣のキルアに顔を向けると、そこには、じと~っと睨み付けてくる青灰色の猫目があった。
ベンチに座る己の膝に肘をつき、その手に顎を乗せ、まさに今から詰問しようとする顔は……それはそれは迫力がある。
(……なんで?)
さっぱり理由が分からないルカだが、キルアの無言の雰囲気に押されて身体をクッと引く。
「さっきのウイングの話しぶりだと、昨晩どっかでウイングと会ったんだろ?」
「……え、うん。ウイングさんが私の部屋に来て、念使えるの隠してただろって話をした。ほら、私って普段は使えないふりをしてるから……」
「なんで俺らを呼ばなかった?」
「!」
キルアの刺すような視線と冷たい声に、ルカは動きを止める。
「俺でも、ゴンでも、同じ階の部屋なんだからすぐ呼べたはずだ。どうせ、お前の事だから、ウイングが来るのだって予想してたんだろ」
(予想は……していた。していたけど……)
「俺らを呼ぶ、なんて発想がなかったか?」
(………)
ルカの考えを読んだかのように飛ぶ、キルアの冷たい声。
返す言葉が見付からず、時が止まったように固まるルカに、キルアは溜め息をつく。
そして、フッと雰囲気を弛めた。
「ルカ、確かにお前は強いよ。
念だって俺らよりずっと先を行ってる。
俺らが一緒にいたとして、役に立たないかも知れない。……でも、役に立つ可能性だってある」
(あ……)
「あのニイサンに悪気があるなんて、本気で疑う訳じゃねーけど。
何があるか分からないだろ」
ここまで言われて、ルカはやっとキルアの言いたい事が分かった。目の前の友人が何に腹を立てたのかも。