第1章 邂逅
そろそろ受験生が300を越そうかという頃、2人は別れた。
ヒソカはルカを抱いたまま (!) 試験を受けるつもりだったが、ルカ本人に断固拒否された。
それどころか、ハンター試験が終わるまで他人のフリをする約束までさせられてしまった。
ルカ曰く、
「ヒソカと一緒に受験したら『ひとり』で来た意味がない」
という理屈で。
「せっかくフリーのルカと遊べると思ったのに♠」と至極残念そうな顔をしたヒソカもまた、ルカに執着する旅団員の1人なのだ。
「ルカが 4 でボクが 44 だろ◆
これはもう、一緒に受験する運命……」
「じゃありません!またねっ」
未練がましく言うヒソカを振り切って、ルカは受験生の中を泳ぐように歩く。
もう400人ほどは集まっているだろうか。
喧騒の中、背の高くないルカがやっと認める場所に、ふと、トンパの姿が見えた。
知った顔を何気なく見ていると、
トンパと一緒にいた銀髪の男の子が、背を向けて去っていくところだった。
……ルカは男の子の後を追うことにした。
彼の言葉に興味を持ったからだ。
「俺なら平気だよ。
訓練してるから、毒じゃ死なない」
そう言った。
彼もトンパのジュースを飲んだのだろう。
しかし……
他に飲む人はいても、自分と同じ理由で飲む人がいるとは思わなかった。
(クモ以外ではじめて見る。あの手のやつ、わかってて飲んじゃう人 )
追い付いたルカは、目線より少し高いところで揺れる銀髪に声をかけた。
「毒じゃないよ。多分あれは、下剤」
「……? 何 ? お前」
ジリリリリリリリリリリリリリリ…………
第287期ハンター試験、受付時間終了のベルが鳴り響いた。